インタビュー

第2回 社会福祉法人逗子市社会福祉協議会 インタビュー

お話をお聞きした事務局長 谷田通春さん、企画総務係・主査 服部誠さん

アシストスマホを高齢者や知的障がい者の福祉事業に取り入れた活動を試験的に実施している、神奈川県逗子市の社会福祉協議会。その主導をしている事務局長の谷田さんと主査の服部さんに、逗子社協の福祉への取り組みとアシストスマホの導入についてお聞きしました。

記者:社会福祉協議会とはどんな団体なのですか?

服部氏:社会福祉協議会(以下、社協)という名前だけ聞くと都道府県や市区町村が運営している行政団体のように思われるかもしれませんが、行政から独立している民間の社会福祉法人です。

谷田氏:地域の中には子どもや高齢者、障がいのある人、生活に困窮している人など、さまざまな人が暮らしています。そうした全ての人たちが、普段の暮らしを幸せに送れるように、事業を展開するのが役目です。

 社会福祉法人逗子市社会福祉協議会

記者:逗子市の福祉の現状を教えてください。

服部氏:逗子市は神奈川県で二番目に高齢化率が高い市です。人口が約60,000人で、そのうち高齢者が約18,000人。高齢化率は30%を超えます。10年前から高齢者の人口が増え、超高齢化時代が来ることが分かっていたため、住民主導型の地域福祉活動によって高齢者を支える準備を進めてきました。

谷田氏:逗子市は地域住民を巻き込むのが上手いんですよ。私は今でこそ事務局長という肩書きがついていますが、そもそもは普通の一住民だったんです。それが、この服部さんに「自分の団地でラジオ体操やってみませんか」と声をかけられてボランティアを始めたら、あれよあれよという間にこの4月から事務局長です(笑)。

服部氏:そうなんですよ(笑)。逗子市は、市民のみなさんがとても協力的なんです。65のボランティアグループがあり、1300人もの方たちが登録してくれています。ボランティア以外にも、ゴミ捨てや電球の交換など暮らしまわりのちょっとしたお手伝いをしてくださる見守りサポーターさんが450人。しかも、その中には60~70代の元気なシニアがたくさんいらっしゃいます。

谷田氏:みなさん、社協で企画したいろいろなイベントも手伝ってくださるんですよ。たとえば、コーヒーおじさんとかね

記者:え? コーヒーおじさん?

谷田氏:今社協では、“ウェルカム福祉会館”をテーマに、パソコン・タブレット・スマホの使い方とかいろいろな交流会を開催しているんです。そういう時はコーヒーおじさんとコーヒーおばさんのエプロンをつけた方たちが煎れてくれたドリップコーヒーが出ます。

記者:お話をお聞きしていると、従来の福祉のイメージとは少し違う活動にも力を入れてらっしゃるように感じますが。

 社会福祉法人逗子市社会福祉協議会

谷田氏:アシストスマホを試験的に導入するのも、福祉の世界では画期的だと思います。福祉は、ITや経済活動など異業種の企業と協力し合うことがとても少ないんです。

記者:それでもアシストスマホを導入しようと思ったのはどんな理由からですか?

服部氏:私はこの逗子市で育って、逗子市の福祉に携わって14年になります。長らく知的障がいのある方と一緒に様々な活動をしてきた中で、親御さんが年を重ねてお子さんを支えることが難しくなっていく現状を見てきました。でも、アシストスマホの機能で、高齢の親御さん、障がいがある方の両方を支えるお手伝いが出来るのではないかと思ったのです。障がい者福祉、高齢者福祉どちらにも活用できる大きな可能性を感じています。

記者:具体的にどんな風に活用していらっしゃるんですか?

服部氏:アシストスマホは決まった時間にアラームが鳴る設定があります。そしてアラームが鳴った時に確認ボタンを押すと、アシストスマホに登録されているメールアドレスにメールを送信する機能があります。この機能は、緊急連絡としての役割を担えます。現在、逗子市内にある自治会の10名の方たちに協力していただき、実際にアシストスマホを使ってもらいながら、実験的に活用中です。朝とお昼にアラームを設定して、確認ボタンが押されると社協に連絡メールが来ます。もし確認ボタンが押されず通知がなければ、社協から電話をして体調や様子を確認する手順を試しており、見守り活動にとても役立つことが分かりはじめました。

 社会福祉法人逗子市社会福祉協議会

谷田氏:もちろん、見守り活動におけるアシストスマホの活用にも大切な意味がありますが、もっと重要なのはスマホを使って人一人が楽しみを見つけて、生きがいが創造されていくことだと思っています。従来の福祉では、高齢の方が集まってみんなで合唱をしたり、指先の運動のために何かを作ったりして脳の活性化をはかり、食事で健康を維持するという側面に焦点が当たりがちです。でも、スマホって、とても頭を使う。多くの人と会話をしながら操作し、コミュニケーションも広がっていくんです。孤独じゃなくなる。だから、逗子社協では“じょうほうCAFE”という、障がい者、高齢者が集まってみんなでアシストスマホの使い方を勉強する交流会を定期的に開催しています。参加者のみなさん、本当に楽しそうな顔をしていますよ。

記者:みなさん、どんな楽しみ方をしてらっしゃるんですか?

谷田氏:たとえばグーグルのストリートビューで自分の生まれた場所をみんなに見せて話をしたり、アマゾンでの買い物の練習をしたりしています。卒業課題は、イタリア・ローマのホテルをネット予約して、空港からホテルまで経路検索し、翌日はサンピエトロ大聖堂までストリートビューをしながら歩いて行くというものです。他にもインターネットラジオを聞きたいとか、音楽を入れたいとか、みなさんそれぞれが自分なりの楽しみ方をしています。

記者:実験的に取り入れたアシストスマホの今後の展望は?

 社会福祉法人逗子市社会福祉協議会

服部氏:まだ実験的な取り組みで来年度どんな展開になるかは分かりません。でもITを福祉に活用することで見えてくる可能性は大きい。日々進歩するITの技術を使えば、さまざまな障がいのある方たちもスマートフォンを使えるようになるのではないかと期待しています。福祉ができることがどんどん広がっていく可能性を孕んでいると思うんです。我々の活動がひとつのモデルケースになって、多くの地域の福祉に役立っていってほしいです。

谷田氏:私はね、東京オリンピックまでに逗子市の障がい者、高齢者の方たちがアシストスマホを持ち、使いこなせるようになってもらうのが目標なんです。福祉において、楽しいというのは重要な要素なんですよ。もちろん楽しいだけでは済まされない、深刻な事態が起きるのも福祉です。だからこそ、福祉を享受する人にも携わる人にも楽しんでもらうことこそが、社会福祉協議会、つまり私たちの役目だと思っています。

アシストスマホの勉強会にお邪魔してきました。

逗子市のある地区で開催されたアシストスマホの勉強会の模様をレポートします。最初は戸惑いがちだった、参加者の方たちの笑顔がとても印象的でした。

取材当日、逗子市社会福祉協議会が主催する、アシストスマホの勉強会が行われました。主査の服部さんがアシストスマホの楽しさとメリットを説明しても「スマホって難しいんでしょう」「私は、ガラケーで十分」と集まった方たちからの反応はいまいち。

一通りの説明がなされた後、実際にアシストスマホに触れる時間になると、否定的な反応をしていた方たちの反応が一変しました。「まずは電話をかけてみましょう」という講師の声に、みなさん目が輝き出します。「え? 本当に電話をしていいの? もしもし、あら簡単なのね」。楽しそうな声が、あちこちで飛び交います。「他にはどんなことができるの?」「へー、そんなに便利な機能が……」と、興味深々な様子です。

 何より印象的だったのは、みなさんの笑顔。社協の事務局長、谷田さんの「スマホを勉強している人たちはみんな楽しそうなんですよ」という言葉を思い出しました。この笑顔こそが、これからの地域福祉の未来を握っているのかもしれません。

 社会福祉法人逗子市社会福祉協議会  社会福祉法人逗子市社会福祉協議会  社会福祉法人逗子市社会福祉協議会  社会福祉法人逗子市社会福祉協議会

ライフステージ活動予定ご案内

 社会福祉法人逗子市社会福祉協議会

住所:〒249-0005 神奈川県逗子市桜山5-32-1

電話:046-873-8011(代表) FAX:046-872-2519

Eメール:info@zushi-shakyo.com

 社会福祉法人逗子市社会福祉協議会

逗子市社会福祉協議会のみなさん

  • 第1回 ライフステージ 木下昭氏 インタビュー